社会科の学習で取り上げられる知識は、じつに多様であり、
社会に見られる知識には階層性がある。(「知識のピラミッド型構造図(モデル)」参照)
ピラミッドの頂点に位置づいている(A)にあたる知識は、抽象的で概念的な知識である。
これは、この下位に位置づく知識(B)を活用し考えることによって導き出され、
獲得される知識である。言い換えれば、(B)にあたる知識は、
上位の知識(A)を説明するときに活用される知識である。
またこれらの知識は、既有の知識を活用したり、
資料を活用したりすることによって習得される。これは説明的な知識と言われるものである。
さらにこの低位(C)には、用語や語句レベルの知識が位置づいている。これらは教師が教える知識で
あり、子どもが覚える知識であるといえる。このように多様な知識はピラミッド型に階層化され構造化されている。
【図】 知識のピラミッド型構造図(モデル)
今回の調査で出題された「基礎的知識」とは、ピラミッドの底位に位置づいている、
主として用語や語句レベルの知識である。社会科の学びとは、
図に示された知識をボトムアップの視点で構成していくことであり、それはすでに習得してい
る知識を活用しながら探究し、そこで習得した知識を活用しながら、さらに探究していく。
知識の習得と活用と探究を一体的かつ構造的に展開していくことが、子どもの学びを深めていく姿である。
「基礎的知識」には、例えば次のようなことを挙げることができる。
- 四方位、八方位、縮尺、等高線、主な地図記号
- 地域の安全や健康を維持する仕組みを理解するために必要となる基礎的な用語や語句など
- 47都道府県の名称と位置
- 国土に見られる主な山地や山脈、平野や川、湖、半島や湾、島など
- わが国の農業、水産業、工業、国土の地理的環境を理解するために必要となる基礎的な用語や語句など
- わが国の主な時代の名称と順序
- 歴史上の主な人物とその業績
- 歴史上の主な事件や出来事の年代
- 世界の主な国や地域の名称と位置及び国旗
- わが国の政治や日本国憲法を理解するために必要となる基礎的な用語や語句など
今回の調査から、これらの「基礎的知識」の習得が重要であるといえることから、
さらに「基礎的知識」の抽出研究や指導方法・教材の研究が課題になってくるといえる。
調査結果データのPDF版はこちらです 【PDF(319KB)】
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